絵の無い絵本を描けるように、パレットを増やす。

労働を三つに分けるー肉体労働、頭脳労働、そして感情労働感情労働とは何か…「感情の抑制や鈍麻、緊張、忍耐などが絶対的に必要」である労働を意味する(wiki)。職種として、接客、窓口、カウンセラー、看護職、介護職、ヘルプデスク等がすぐに挙げられる。

友人にとてもコミュニケーションスキルの高い女性が居て、彼女は屈託なく人を褒める。歯が浮く…と思った事もあるが、彼女には実(じつ)があるのだ、行動が伴う。夜中に呼び出されても、緊急だと思ったら夫を起こしてでも駆けつける。人付き合いに私のような怯えや打算が無い。しかし、特定の対象に心を傾けすぎて自分を傷めることもない。至極あっさりしている。過ぎたら忘れてしまう、と言っていた。「だから、親友とか特にないの。」居ないと、無い、の違いね。

かなわないね、こういう人には。彼女はかつて、証券大手の窓口に居たが、顧客にいきなり水を浴びせられた事があるそうだ。

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別に労働を三つに分ける必要も無いが…前置きしたくなった。先週末の二日間、ショッピングモールで営業した。

1 母子三人の注文。双子の幼児、なぜか兄だけおもちゃを持っていて、弟はそれが欲しくて泣きわめく。貸してあげなさい、と親たちは言うが、兄は「これは僕のアンパンマン」とおもちゃだけを見つめ呪文のように繰り返す。祖母と叔母が弟を連れてどこかに買い物に出かける。母は不機嫌…と、ヤバい!兄の目にじわーっと涙が…盛大に泣き出す。しかも母を糾弾するトーン。「おかあさん、叱っちゃ駄目ー!」と繰り返す。予防線か?弟がけろっとして戻って来た。アンパンマンより高価なおもちゃだったらどうしようと描きながらもハラハラしたが、ブツは食玩で、いろいろな意味で賢いと思った。兄の台詞は気づくと「おかあさんのばかー!」に変わっていた。弟は母に顔を押し付けていたので後頭部がよく見えたが、マレット(短髪だが、襟足から下が長い独特のヘアスタイル)だったので、なぜか筆がさらに遅くなり、やがて頭痛も始まった。兄は時間にしておよそ二十分、連続した高いクオリティの「泣き」をキープし続けていた。なかなか体力のある。

2 土曜日の三時半頃だった、二人で営業してたが、私の背後から衝立て越しに声が。六十代とおぼしき男性で、「三十年前にこのあたりで似顔絵を営業していた女性の○○さんを探している。当時二十代ぐらいで…知らないですか?」…知らんわい。という気持ちは顔にはなるべく出さず、「はぁ、会社の上のものに聞いてみましょうか」と一応いうと嬉々として名前と電話番号を渡してくれ「なんか貴女の描くのをみてたら、当時彼女が描いていた絵とすごく似てるんですな…いや、もう、覚えてなかったら連絡とか別に、いいんで」と、爽やかに立ち去る。そのときちょうどAKB48前田敦子をイマ風目指して描きかけていたので軽いショックを受ける。遅くに来るボスにメモを残すが、「捨てて良いと思います、すみません…」と謝罪もつける。

3 そういえば土曜の朝、月初めにここで描いたお客さん(六十代男性)から私の描いた自分の似顔絵のコピーと自分の風景画のコピーを何枚も貰う。フルカラー。実際に描いたのも貰った。どうしようこれ…ダマーにみせたら、上手じゃん、と言われた。アンタのオフィスに飾ってもらおうじゃないの。

イベントに呼ばれる固定ギャラの仕事と、ダイレクトにお金をもらう出来高制のシステムの違いがここにも…仕事明けは半日使い物にならないのは年齢の他にこういう理由もあるのかも。これらの話を実家の母親にしたら、「していい社会勉強と、しなくていい社会勉強がある…」と説教を始めたので早々に切り上げる。

小説家がタクシードライバーをやる、っていうのにちょっと似てるか?私はパレットを増やせているのか?

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似顔絵のスロット、埋まってきました。25パーセントいきました。皆様とメンバーのご協力に感謝します。まだまだ募集中!

http://www.avocadobanana.com/charity.html