不親切だなあ…

前に、私の頭の中をがらくたでいっぱいの屋根裏部屋に例えたけど、昔の事を書くときって、耳のちぎれたぬいぐるみを引っ張り出して来て説明するようなものだ。その日あった事を書くのは新しいおもちゃを仕舞う前に開陳するような。

「愛と野望のナイル」という二人の探検家を描いた映画で、同じ探検者同士で生傷のみせ合いをする場面がある。どっちが凄い傷か=どっちが凄い探検をして来たか。それは無邪気な男同士の戯れというシーンだったと思うけど、私はそれをやってんのかも知れないな、読んでる人を相手に。必ずしも傷ばかりじゃないと思うけど、でもみせるだけであまり説明しないのは不親切だよね…。

ということを、大江健三郎を読んでて思った。読書会関連でなければ多分これからも手に取る事はなかっただろう本。細部まで濃い上にいちいち個人的な想いに脱線してしまうんだよね、読んでる私が。ドラマに引き込むというより訥々と語り続ける狂言回しの声にぼんやりしつつ、席から離れる事を許されない。コレ、数ある著作の中では最も読みやすいとか?!壮大なマンガ日本昔話を三時間ぐらいみせられている感じ。DJがたまにディスクの回転戻すし!クライマックスなしのタペストリー!しかしまだ読み終わってないので、感想は言い切れない。