あれほどorzだったことがあるだろうか

週末は二人ともそれぞれ出張で、帰りに待ち合わせて地元の焼き鳥屋さんで打ち上げ。混んでいる中子連れが混じっているのに気がついた。数から言うと一組二組ぐらいなんだろうけど、目につく。可哀想だな、と思う。大人の都合で連れて行かれるから、というのもあるが、「異界の存在」を持つチャンスをひとつ失っているからだ。

おにぎりが好き。大きいものが好き。しぜん巨大なおにぎりへの憧れを持ち続けたまま女子高生になった。田舎なので居酒屋も街に数軒、バイト禁止、酒のある喫茶店にも立ち入り禁止の世界。でも、通学路にあったんで通りすがりにチェックしていた。昼間の居酒屋はみすぼらしかったが、夜になると九龍城になる。店頭お品書きの「爆弾おにぎり」はいやが上にも魅力的で、日々想いは募り、ある日私は放課後にセーラー服のまま門を叩いた。思い切って、言った。「爆弾おにぎり、ください。」「準備中です」

敢えなく拒絶され恥と惨めさで絶望に打ちひしがれながらも、同時に沢山の巨大なおにぎりを準備中の九龍城を想像しながら帰途についた。おにぎりしか見えなかった。