鈴を振るような笑い声の時間

昨夕痛む足をおして外出、帰路どこかの家から幼い子供のけたたましい連続した笑い声が聞こえて来た。

とても楽しそうだった。複数の声だった。くすぐられているのか、何か面白い事があって止まらないのか、その瞬間は、今何時だろうとかまったく考えもしないんだろうなあと思った。一瞬かも知れない…

あれは十歳頃だったか、時節は今頃で快晴だった。何も無い雪の上に仰向けに倒れて流れる雲をみて、ぎゅっと目をつむって、次に目を開けたら六十歳になってますようにと願った。もう枯れ木のようで、死ぬのをスムーズに待つばかりなのにと。あいだのことが、六十歳になるまでの間に起きるだろう事がもう面倒で面倒でたまらなかった。

三分の二の時間がとうに過ぎて、いま面倒の渦中にあり、かつ、六十歳に無事なれたとしても、枯れ木になってる保障は無い、スムーズにも人生終えられないだろう、と当時の私に言ってあげたい。でも人生はあなたが思ってるほど長くはない、とも、付け加えてあげたい。