「灼熱の魂」

シネリーブルで「灼熱の魂」。途中でお子さん連れのN先生と遭遇。手繋ぎされていた長女ちゃんはとっても愛らしく挨拶までしてくれて、長男君はムッとした感じでクールに歩いていたが、どのみち四つだかなんでちょう可愛い。映画は一人で観賞。重い映画だと聞いていたが、過酷な運命に立ち向かう女性の物語ってなんか惹かれる。

で、感想だけど、二千年の歴史をこんな一言でいっちゃなんだけど、やっぱりシェークスピアは優雅なレイピアで、こちらは棍棒だなと思った。腹を直撃でいつまでも痺れが残るような。解決はされず委ねられるが、真実はあまりにも重く、遺された者達はどうしていったらいいのか…知らずに済む幸せというのは確かにそうだ、私なら…私は知らせてもらいたい。受け止められるかどうかはわからないけども。双子は分かち合える。でも兄はひとりで受け止めねばならず、父は一生負わねばならないのだ。

トーマの心臓」でトーマがユーリを愛したような、そんな、空気を上へ拡げていくようなやり方で、彼女はけりをつけたのだな。

ラース・フォン・トリアー奇跡の海」はやっぱりただのミソジニーだったな。あれは観賞後しばらく気分悪く観た事を後悔したけど、これはそんな事は無かった。違いは何かというと…いや全然別な映画だけど、違いを言いたい。「灼熱の魂」のヒロインはその結末まで自分で見据えて決めたのだ。ただ自分の身体を捧げるだけで、監督に勝手に天国の鐘を鳴らされて美しく送られちゃった「奇跡の海」のヒロインは、実は奈落で地団駄を踏んでいる。私ならそれを監督に伝えたい、噛み合っていないと。しかし、それこそが(救済を嗤うというシニカルな)テーマなのなら、もう何も…

音楽はレディオヘッドが多用されていた。メモ。