可愛い女の子と犬猫にゃ弱い

ダマーには五時半に来てもらう予定だった。昨日の仕事は元締めに「今日は四時半に撤収を開始して五時にあがっていい」と言われていた。私もそのつもりだったのだが、受付嬢をサービスで描いてしまった。朝お客さんの居ない時間にカメラを向けたら四人入って来た。皆似顔絵は初めてで、各々の仕事の合間に天使のように私の周りを舞い間断なく絶賛し続けた。仕事分は終わり、あとはサービス残業となったが、五時半に終わると思っていた。受付嬢サービスのドリンクを三杯飲みながら四人分。最初の女性には特に気合いを入れて描いたが、肩に愛犬を載せてくれ、と写真コピーとともに頼まれた。次の子は美人だったが、まつげ増量を希望された。他の人はペットの写真を持って来たが、彼女は残念そうに無いわ私、といい、次に眼を輝かせて、「ドナルドダックを」と言った。現物をみないと描けません…と首を振ったら、拡大写真を持って来た。三番目の子はベッキーに似ていて、絵が好きだといい、暇があると私の背後に邪魔にならない位置から賞賛を浴びせ続けた。眼がとても大きく鼻筋が通っているが、三白眼なのが悩みだという。彼女の愛犬はモシャモシャの柴の雑種だったが、毛皮を巻いていた。ここで既に五時半を回り、ドリンクを振る舞われているダマーを尻目に私は四番目に入った。どの女性も美人だが、特徴づけなくてはと思ってちょっと鼻の下を長くしてしまった。いやもう、誤差でね!しかし、彼女は不満げだった。肩に乗せた猫をかわいこぶって前足でハローなポーズ。他の子も集まって来て、「可愛い!似てますよ!」「猫ちゃんがもうキューット!」とフォローした。おぼろげに新人や先輩という区別があることがわかった。全部終了したら六時をかなり過ぎていた。犬猫とドナルドダックがなければ五時半には間に合っていたと思う。ま、日給分は確実に仕事したね。