エンジェルぺイシェント

今日は汗ばむほどで気分もよく、私は午後二時からの歯医者のアポにあたり、殊勝にも、よい患者で居たい、出来れば世間のモンスター某と名の付く輩を払拭したいとすら思った。診察台に横たわると衛生士さんにまず時候の挨拶から始め、アホの子のようによだれかけをされる。本日の担当は一番美人で小顔のNさん。わたし、ますます意気盛ん。ぶっきらぼうな院長の診察にも愛想良く答え、口を開ける際にも先生の居る側の肩を激しく下げるなど微妙な気遣い。先日の大泣きの子供の例も思い出して大人しく注射も打たれたが、二回目がどうにも痛く、施術中はヒタイに二度と消えない溝を刻み込むほどの苦渋を浮かべ、後で哀れっぽくNさんに痛みを訴えたら、予想出来た事だが大変恐縮された。「…に、二回目はハッキリ言って、スンゴク痛かったです!!」

でもいつも、口角炎の出来た口をこれでもかと引っ張られても、「モンスターぺイシェントにだけはなるまい!」と思っていた。