さくらんぼ

那須は湯本で同窓会。実に十年ぶり。前回は松島温泉で幹事じゅん君の采配もあって総勢二十名余、先生も来てくれた。今回はクラスメートのひとりが経営しているそば屋「青木屋」がある那須湯本まで出かけた。全部で七人、うち女子二名と小規模ではあったが、中年しゃべり場と化して盛り上がり、それはそれで楽しかった。土曜日にU字君に東京駅まで迎えに来てもらい、一気に那須。車が大きくてとても乗りやすく、高そうだったので車種を聞くと「ビーエム」と憮然とする。「それはBMWー?BMエックスとかじゃなくて?」と聞き返した。だってU字君は軽トラキャラだから。そして那須まで一気に走り、青木屋の前で合流。みな、男子はメタボとうすハゲの波、女子はからだ丸々化の波が来ている。ユカはそれでも相変わらず可愛かったが、私にはシワもある。U字君を除いて皆既婚、子供も小学生とか。青木屋に入ったらだまっていても料理が運ばれてきた。

メニューはしゃもじに載った焼きミソから始まり、しそと普通の冷製二色そば、ぷちぷちするヤマイモがけそば雑炊、ここで終わりかと思ったら熱い鴨南蛮が続き、最後におろしうどんかそば汁粉にするか聞かれて甘い方にする。とても美味しくて量があり死にそうになる。仕事が終わったら合流する事を約束して青木屋を後にする。

マックスバリューで買い出しして、コテージで騒ぎながらバーベキューをする。男性陣は結婚したら横のものを縦にもしないタイプになるのではないかと危ぶんでいたが、調理や火起こしなどほとんどの作業をやってくれたので感心した。お土産に私は新大阪駅で黒いおたべを買っていったし、他の人たちもいろいろもって来てくれたけど、やっぱり山形から来てくれたスダダ君の佐藤錦がキョーレツだった。私は普段は絶対買わない、さくらんぼなんて。買うとしたらユカが言うようにアメリカンチェリーだけど、ダマーも特に好きというわけじゃないから買わない。「あまり食べるとおなかがゆるくなるよ」といいながら実家から一万円ほども持って来てくれたのを、おやつに食べ、バーベキューに食べ、夜食に食べる。遠慮なく食べていたら、やっぱりおなかを壊した。しゃべり場で盛り上がる中さりげなくトイレに何度もたっていたら、スダダ君が慈愛に満ちた目で「大丈夫?」と問うように見てくるのを軽く無視したりして夜中解散。ユカと別棟にいってシャワーして就寝。その前に女子的な話をすることは忘れない。

次の日はバーベキューの片付け(男子)ゴミ出し(男子)朝食用パンを近場に買い出し(男子)チェックアウト時間が迫ってくるのに、とイライラしながら待つ(男子)シャワーを浴びる(ユカ)化粧をする(ユカ)あと三十分といいながら一時間かける(ユカ)寝穢くギリギリまで寝こける(わたし)ユカの携帯のたらこキューピーの着メロで苛立たしく起きる(わたし)男子棟のドアを開けたらみんな引きつった笑顔で「食べようよ…」とテーブルに大人しく着席しているのもいとあわれ。パンはいろいろあって、もちろん全種類食べたい、というとじゅん君が人数分に切ってくれる。うじyeahくんがみんなにモンカフェをいれてくれる。

青木屋によってお土産を渡し、なんとなくアイデアも無いまま足湯に並んで浸かる。電線にとまる鳥のように。混浴だあ!白濁した湯にまったりと言葉少なにでも満ち足りた感じで居ると、プランタに水をやるダマーの後ろ手に組んだ手のように、なんだかやっぱり年取って来たなあと思い、「まあ私はたまに高いところから飛び降りてみたりするよ」と言ってみるも「やめなよ〜」といさめられ、そういった事故の話から保険やマンションや年金の話になって萎える。その後その名も温泉神社でお参り、インターチェンジまで流して途中でお昼にパスタセットを食べて、チーズ工房みたいなところでお土産を買い、別れる。

東京駅までU字君に送ってもらって、のぞみで帰宅。楽しかったdeath